<代表理事 喜田村洋一>
少し前、「黄金の3年」という言葉がありました。2021年の衆議院選挙、翌年の参議院選挙で、与党の議席が両院で過半数を遥かに超えると、当時の岸田内閣は、国政選挙なしの3年間を貰ったので、好きなことができると言われました。
しかし、実際にはどうだったでしょう。岸田氏は自民党総裁選に立候補できず、今年の総選挙で、与党は過半数割れを起こしました。その後の国会の混乱ぶりはご存じのとおりです。
米国でもEUでも、選挙により新しい事態が生まれています。
主権者である市民が最もラジカルにその力を示すのは、何といっても選挙なのです。ですから、会員の皆さんも、知人友人と声をかけ合って、次の選挙に行きましょう。選挙を意味あるものにするために、自由な表現を行使し、情報公開の実現に向けて努力することも怠らずに。
<代表理事 紙谷雅子>
人権の概念は変化するが,表現の危険は変わらない。かつて,権威に関する表現は,どこでも命懸けであった。西洋文明がモデルとする古代ギリシャでも,新しい憲法にわざわざ「人権保障規定」を追加した18世紀末のアメリカ合衆国でも,(命を奪うかどうかはともかくとして)耳に痛い発言は国家に対する反逆の企てであるという決断をした。今でも,自分の見解に対する批判的な表現と,国家,宗教など権威を体現する組織の転覆を諮る煽動を区別しない権力者の振る舞いは,残念ながら少なくない。
表現が「危険」なのは,本当のことを人々に気が付かせるから? どれが本当のことなのか,種々雑多な情報を選別するのは大変だから,専門家にお任せくださいというのはもっと「危険」? 新しい年に向けて必要なのは耳に痛い言葉と向き合う胆力?
<代表理事 芹沢斉>
新しい年を迎えました。
しかし、法を無視する政治家が「共通の価値観としての『法の支配』」を語ったり、SNSの負の側面が肥大化したりするなど、気軽に「あけましておめでとう」と言い合えるような国内外の状況とは思えません。では、こうした状況から生まれてくるであろう混乱や変動にどう立ち向かうべきなのか。自由人権協会はこれまで、複雑で困難な問題や事態に対しても、真の「世界共通の価値観」としての「人権擁護」を基に、冷静な判断を下し、活動を行ってきた経験があります(パンフレット参照)。
この経験を会員の皆さまが共有して、予想される問題や事態に立ち向かっていきましょう。
<代表理事 升味佐江子>
あけましておめでとうございます。
世界中で強い者が拳を振り回し、弱い者は理を叫んでも踏みつぶされる現実を見せつけられた2024年でした。
寛容と不寛容が闘えば不寛容が勝つ、誠実と不誠実が闘えば不誠実が勝つという世界で、寛容で誠実でありたい者、しかも拳を振り回さない者は、どうやって生き延びればよいのか、考えるほどにストレスはたまります。
それでも、つらくても目を開いて現実を見続けること、夢ではなくたどり着くべき理想を語り続けることからしか、道は開けないのではないでしょうか。
JCLUが生まれるきっかけとなった日本国憲法は、日本国民300万人とアジアの人々2000万人の犠牲が生み出しました。敗戦から80年となる今年、あらためてその理想を今に生かす道を考えたいと思います。さらに多くの方々と例会やシンポの機会に語り合えるようになれれば幸いです。
本年もどうぞよろしくお願いします。