日本における外国人の歴史は、古くは中国大陸や朝鮮半島からの渡来人に始まり、近代でも明治以降、中国や朝鮮から多くの人たちが日本に移住しています。とりわけ1910年の朝鮮併合以降の「大日本帝国」による朝鮮や中国への植民地支配は、1945年の敗戦後70年以上を経た今日においても大きな禍根を残しています。
現在では、植民地支配の歴史を背景とした「特別永住者」ばかりでなく、1985年のプラザ合意以降、ニューカマーと言われる外国人が日本に多く訪れ、2015年末には223万人もの外国人が在留しています。そして、一言で「外国人」と言っても、国籍が多様であるばかりでなく、その在留状況にも大きな違いが見られます。
日本政府は、1981年の難民条約への加入を契機に、在留外国人にも社会保障法制の適用を拡大するなど、その権利保障を進めてきました。他方、2001年のアメリカ同時多発テロ以降は、国際的なテロ対策の流れも受けて、外国人登録制度から在留カード・特別永住者証明書への切替えや、日本版US-VISITの導入など、外国人への厳しい管理強化を推し進めています。
また、依然として日本社会には外国人差別や外国人排斥の動きが続いており、近年には主として在日コリアンらをターゲットとした公然たる差別行動が繰り返されています。こうした背景には、日本の政府機関自らが、法令上の明文を以って、あるいは法令上の明文の根拠なく外国人への差別を公的に許容している状況があります。
このように外国人の基本的人権の保障は、未だに脆弱なままにとどまっており、私たちはその動向を常に注視していかなければなりません。
声明・意見書
2017年
2013年
2011年
2010年
2009年
2006年
- 「今後の外国人の受入れについて(中間まとめ)」に対する意見
- 「テロの未然防止」を目的とした「出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案」に反対する緊急声明
- 「人種差別撤廃条約」政府報告書についての意見
外務省による「人種差別撤廃条約」政府報告書作成に対する意見募集に対し送付したJCLUの意見です。
2004年
2003年
2000年
1991年
法案
2006年
2004年
- 外国人の権利小委員会・人種差別撤廃法要綱試案(Ver.2)
- 外国人の権利小委員会・人種差別撤廃法要綱試案(Ver.2) 解説
人種差別撤廃法要綱試案Ver.2は、理事会の議論を経て一部修正し2006年に自由人権協会案として発表しました。
2003年
- 外国人の権利小委員会・人種差別撤廃法要綱試案(Ver.1) 日本語
- 外国人の権利小委員会・人種差別撤廃法要綱試案(Ver.1) 英語
- 外国人の権利小委員会・人種差別撤廃法要綱試案(Ver.1) 韓国語
- 外国人の権利小委員会・人種差別撤廃法要綱試案(Ver.1) 中国語
1980年
外国人の権利小委員会
外国人の権利小委員会は、ほぼ数年に1テーマのペースで大きな課題に取り組んできており、それに関連する調査・研究を中心に活動しています。また、そうした活動の成果の一部は、出版物として発行しています。
JCLU50周年にあたる1997年には、「日本で暮らす外国人の子どもたち〜定住化時代と子どもの権利」(明石書店)及び「来日外国人人権白書」(明石書店)を出しました。また、2005年には、国連人権委員会(現:国連人権理事会) が任命した「現代的形態の人種主義、人種差別、 外国人嫌悪および関連する不寛容に関する特別報告者」であるドゥドゥ・ディエン氏(セネガル出身)に対して、日本における人種差別の状況について情報提供をしました。
2006年には、当小委員会が中心となって作成した「人種差別撤廃法要綱」をJCLUとして発表するとともに、当小委員会による同要綱の詳細な解説書も作成しました。また、2009年には第18回久保田メモリアルシンポジウム「韓国の外国人政策に学ぶ〜問われる日本の政策不在」を開催しました。
近年では、2013年に、当小委員会が中心となって作成した「公的な国籍差別の撤廃を求める意見書」をJCLUとして発表するとともに、現在、それに関わる詳細な文書を作成し、出版に向けた作業を進めています。また、2014年には、第21回久保田メモリアルシンポジウム「日本における人種差別を考えるシンポジウム〜ヘイトスピーチをきっかけに」を開催しました。
このほか、JCLUは「外国人人権法連絡会」(正式名称:「外国人・民族的マイノリティ人権基本法」と「人種差別撤廃法」の制定を求める連絡会)に参加していますが、当小委員会のメンバーがその運営委員として活動しています。
外国人の権利小委員会への参加はJCLU会員に限定されています。会員登録はこちらへ。
出版物
田畑ブックレット「外国人はなぜ消防士になれないか-公的な国籍差別の撤廃に向けて-」
JCLUは、2010年より、外国人の権利小委員会を中心として、国籍を理由とする公的な分野における差別について、さまざまな角度から分析・検討を行い、2013年8月に「公的な国籍差別の撤廃を求める意見書」を発表しました。
その後も検討を重ね、2017年6月に田畑ブックレットとして刊行しました。
詳しくはこちらへ。
第21回久保田メモリアルシンポジウム「日本における人種差別を考えるシンポジウム〜ヘイトスピーチをきっかけに」資料集
2014年10月19日(日)に、第21回久保田メモリアルシンポジウム「日本における人種差別を考えるシンポジウム」を開催し、「JCLU人種差別撤廃法要綱」の解説のほか、人種差別を考える上で貴重なものとなる関連条約や国連文書等をまとめた資料集を作成しました。
第18回久保田メモリアルシンポジウム講演録「韓国の外国人政策に学ぶ―問われる日本の政策不在―」
2009年11月29日(土)に開催された、第18回久保田メモリアルシンポジウム「韓国の外国人政策に学ぶ―問われる日本の政策不在―」の講演録を刊行しました。
日本と同じく東アジア圏にあって、少子高齢化・国際結婚の増加・外国人労働者受入を巡る錯綜など、日本と類似の問題を抱える韓国が、「外国人と共に生きる開かれた社会の具現」を旨とする外国人政策に向けて、大きく転換できたのは何故か。韓国大統領府で、専門委員を勤めた経歴もあるソン・ウォンソク氏を講師に迎え、外国人の権利小委員会が中心となって行った討議の内容を、豊富な資料と共に収録しました。
「近藤敦教授 講演録 外国人の「人権」保障 -コンメンタール風に-」
2005年6月17日に行われた連続講演「憲法の現在」第11回の記録
「コンメンタール風」とありますが、講演は、通説・判例の紹介を中心とする一般的注釈と明らかに異なり、立憲性質説という新しい理論の展開を示されるものでした。在日外国人を差別的に取り扱うことを追認する判決や社会の認識に対し、閉塞感を覚えている私たちにとって、講演は大変示唆に富むものでした。 この貴重な講演記録を、一人でも多くの方々に共有してもらいたいと考えています。憲法に関する議論がさらに広がり深まるための一助になれば幸いです。
資料集 JCLU外国人の権利小委員会人種差別撤廃法要綱試案(Ver.2)と解説
外国人入店拒否や、外国人差別・排斥をあおる公務員の発言などが相次ぐ中、JCLU外国人の権利小委員会は人種差別撤廃法要綱試案を提案。
本書は2004年8月に完成したその試案Ver.2とその詳細な解説を全文掲載。
人権擁護法案など関連の法案・条約も掲載。
来日外国人人権白書
国内労働力の人口の1% に達する外国人労働者、年間 27,000 件に及ぶ国際結婚、28 万人を超える超過滞在者、来日外国人を取り巻く現状を具体的に分析し、日本社会の「国際化」の現実を問いかける白書である。総論「日本における外国人の人権保障とその系譜」をはじめ各論「労働者/国籍(帰化)/難民/在留/入管手続/子ども/住居/医療/刑事手続/受刑者」他、関係団体リストや外国人の人権について考えるためのブックガイド等各種資料も収録。
日本で暮らす外国人の子どもたち―定住化時代と子どもの権利
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